快適な生活をサポートする施工の1つに「遮熱工事」があります。遮熱工事を行うと、どのような効果が得られるのでしょうか。
今回は、遮熱工事とはどのようなものなのか、メリット・デメリットを踏まえて解説します。断熱工事との違いも理解し、住み心地のよい家づくりの参考にしてください。
遮熱工事とは
遮熱工事とは「輻射熱(ふくしゃねつ)」を防ぐための施工です。工事によって、太陽光に含まれる光エネルギーを反射し、建物への影響を軽減します。住宅の場合、太陽光による影響を軽減するために、屋根や外壁に行うのが一般的です。
使用する遮熱材の種類
太陽光の影響を防ぐために使用する「遮熱材」は、遮熱塗料と遮熱シートの2種類があります。遮熱塗料は、輻射熱を反射する効果を持った塗料です。屋根や壁の塗装に使用すると、輻射熱を反射します。
遮熱シートの効果も、遮熱塗料と同じです。塗料とは異なり、シートを壁や屋根に貼ることで、効果を発揮します。遮熱シートにはアルミが使用されており、純度が高いほど高い効果が期待できます。
断熱工事との違い
遮熱工事と混同しやすい「断熱工事」は、壁から伝わる熱の量を減らすことが目的です。遮熱工事には輻射熱を反射させる効果があり、断熱工事は外気の侵入を防ぎ、室内の熱を逃がさない効果を持っています。
施工部分も、工事によって異なります。遮熱工事は屋根や外壁など住宅の「外側」に行いますが、断熱工事は壁内部や天井、床下などに施すのが一般的です。
遮熱工事を行うメリット
太陽光を跳ね返す遮熱工事を行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。遮熱効果がもたらす影響を見てみましょう。
建物が熱ダメージを受けにくくなる
屋根や外壁の劣化は雨や風によるものが大きいイメージがありますが、太陽光の熱がダメージを与えることも多いです。遮熱工事をすると塗料の劣化スピードを緩やかにし、よりよい状態を長く保てる可能性が高くなります。
メンテナンス費用を抑えられる
一般的な塗料の耐用年数は10~15年ほどですが、遮熱塗料は15~20年とやや長めです。メンテナンス頻度が下がるので、塗料の塗り直しにかかる費用を抑えやすいのも、遮熱工事のメリットだといえます。
1年を通して節電効果が期待できる
遮熱塗料は、通常の塗料と比べて屋根の表面温度を低くします。真夏には、表面温度を最大20度以上低下させられるともいわれており、室内での体感温度は1~3度ほど低くなります。体感温度が低ければ、エアコンの設定温度を高めにしていても暑さを感じにくいので、エアコンにかかる電気代を節約できます。
また、冬場には室内の熱を室内に留めておく効果を発揮します。暖房やストーブなどで温まった空気が逃げにくくなるので、冬場にも節電効果が期待できるのは、遮熱工事の大きなメリットです。
遮熱工事にデメリットはあるの?
遮熱工事が住宅にもたらすメリットは多くありますが、反対にデメリットがあることも忘れてはいけません。遮熱工事をする前には、どのようなデメリットがあるのかも知っておきましょう。
施工費用が高い
遮熱工事で使用する塗料は、遮熱機能があるぶん通常の塗料よりも高額なため、塗装にかかる費用が高くなります。遮熱効果を得るために初期費用が多くかかってしまうのは、遮熱工事のデメリットです。
しかし、前述の通り耐用年数は長めなので、長期的な目で見ると足場代などメンテナンスにかかる費用を節約できる可能性があります。
希望の色で塗装できない場合がある
遮熱塗料の種類は非常に多いわけではないので、屋根や外壁を希望の色にできない場合があります。また、黒よりも白のほうが太陽光の反射率が高いので、黒系の遮熱塗料を選ぶと、期待したほどの効果が得られないかもしれません。
冬は太陽光の熱による温め効果が薄れる
夏場は強い日差しから住宅を守りながら、熱が室内に伝わるのを緩和してくれる遮熱工事ですが、冬には太陽光による温め効果が薄れてしまうため、夏場ほど効果を感じにくいかもしれません。
しかし前述の通り、遮熱工事には室内の熱を逃がさない役割もあります。冬場も快適な温度を保ちやすいので、「夏しかメリットがない」ということはないといえます。
より快適に過ごすなら室内の”断熱”にも注力を
遮熱工事のみでも得られるメリットは多いですが、より快適な暮らしを求める場合は、断熱工事も併せて行うのがおすすめです。断熱材を使用すれば、室内の空気がより外に逃げにくくなるだけでなく、屋外から伝わる熱や冷気も遮断してくれます。
「断熱工事をすれば、遮熱工事は不要なのでは」と思う方もいるかもしれませんが、遮熱と断熱は役割が異なります。どちらも行えば、住宅の劣化を防止しながら、快適な生活を実現できるでしょう。
まとめ
住宅の外壁や屋根に行う遮熱工事は、塗料やシートによって、住宅が太陽光の影響を受けにくくするものです。メリット・デメリットを理解すると、遮熱工事の重要性や施工時に注意したい点もわかります。
よりよい暮らしの実現には、遮熱工事と断熱工事の両方を行うことも大切です。工事の目的や予算なども考慮しながら、最適な施工内容を選択しましょう。
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