賃貸物件を退去する際、多くの人が気になるのが「原状回復」です。
契約時にはあまり意識しなくても、いざ退去となると敷金がどれだけ返ってくるのか。修繕費用をどの程度支払う必要があるのかなど、不安を感じることが多いでしょう。
今回は、原状回復とは何か、賃貸契約における基本ルール、費用負担の仕組み、トラブルを避けるための対策について詳しく解説します。
原状回復とは?
原状回復とは、賃貸物件を退去する際に「借りた当初の状態に戻すこと」をいいます。
よく「原状回復=新品同様に戻す」と考える人が多いのですが、賃貸物件に入居した状態であれば問題はないです。
また、通常の使用による劣化(経年劣化)や自然損耗は借主が負担する必要はありません。
原状回復の基本ルール
原状回復については、大家さんや不動産屋が独自に決めるのではなく、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が基準です。
国土交通省によるガイドラインでは、次のような原則が定められています。
- 通常の使用による経年劣化や自然損耗の修繕費用は貸主(大家)が負担
- 借主(入居者)の故意・過失・不注意による損傷は借主が修繕費を負担
- 原状回復の範囲は「元通り」ではなく「貸主が次の入居者を募集できる状態」にすること
たとえば、日焼けによる壁紙の変色やフローリングの自然なすり減りは、借主が負担する必要はありません!
しかし、タバコのヤニ汚れや子供が壁に落書きをした場合などは「借り主の故意・不注意による行動」に当たるため、借主の負担になります。
原状回復の費用負担の仕組み
アパートやマンションなどの賃貸を退去するとき、費用負担はどのように計算するべきなのか悩む人は多いでしょう。
原状回復の費用は、割合や計算方法が明確化しています。
費用負担の基本的な考え方
基本的に、借主と貸主によって費用負担の割合は明確化してあります。
次の表に、具体的な例と費用負担社をまとめました。
日常生活の中で発生する自然な劣化については「貸主が負担」して、借主が故意または不注意で生じさせた損傷は「借主が負担」するのが基本ルールです。
費用負担の計算方法
修繕費用は、部屋の使用年数を考慮して決定されます。
たとえば、壁紙の耐用年数は6年です。
つまり、入居して6年以上経っている場合は「壁紙の価値はゼロに近い」ため、張替え費用を借主が全額負担することはありません。
よくある実例をもとに、原状回復の費用負担を計算しました。
- 3年住んだ部屋でタバコのヤニ汚れをつけた場合
→耐用年数6年の50%を負担
- 10年住んだ部屋で壁紙が汚れた場合
→借主の負担なし(価値がゼロになるため)
このように、耐用年数を考慮した計算方法を理解しておくと、敷金を精算する時に不当な請求を防ぐことができます。
賃貸の原状回復によくあるトラブル事例
賃貸を退去するとき、さまざまな物件で原状回復に関するトラブルが起こっています。
どういった事例があるのか、一例を紹介するので参考にしてください。
契約書にはない費用を請求
退去時、賃貸契約書には記載のない請求をされるケースがあります。
最近よく見かけるのが「ハウスクリーニング代」です。
物件によっては借主側が退去する際に請求する場合もあり、思わぬ請求額にトラブルに発展するケースがあります。
雨漏りによってできたカビ
雨漏りしていた天井によってできたカビが、借主側の生活環境によるもとと判断されるケースがあります。
カビが雨漏りなのか、それともジュースなどをこぼしたことによって発生したのか判断が難しいので、証拠がなければ借主が費用を負担しなくてはいけません。
原状回復のトラブルを防ぐ方法
賃貸物件の多くで、原状回復に関するトラブルが発生しています。
入居から退去まで安心して過ごすために、どういった部分を確認しておくべきか知っておくことが大切です。
入居時に確認すべきポイント
トラブルを防ぐためには、入居時に部屋の状態をチェックして、記録を残すことが重要です。
たとえば、契約した賃貸に家財道具を運ぶ前に、壁紙や床、設備などの写真を撮影しておく。入居時にキズや汚れがある場合は、大家さんや不動産屋に報告しておくようにしましょう。
また、契約書の原状回復に関する項目をしっかり確認しておくことも重要です。
契約書は文字量が多いため、読むことを後回しにする人が多いのですが、大切なポイントが書かれているケースが多いのでしっかり確認しておきましょう。
退去時にすべきこと
賃貸物件から退去するときは、トラブルを引き起こさないために適切な対応をしておきましょう。
たとえば、敷金精算の前に見積もりをもらうことで、おおよその金額を把握できます。
もしも不明な請求があれば、ガイドラインを提示して交渉しましょう。納得できない場合は消費者センターに相談するのも方法のひとつです。
不当な請求を受けた場合は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を根拠に交渉するとよいでしょう。
まとめ
原状回復は、賃貸契約をする上で重要なポイントです。
退去時にトラブルを防ぐためには契約内容をよく確認して、入居時の状態を記録しておくことが大切です。
また、修繕費用の負担割合を理解して、適切に交渉することで不当な請求を回避できます。
もし賃貸の退去時に原状回復でお困りの場合は、専門家に相談するのもひとつの方法です。
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